令和3年度介護報酬改定とこれから②「Sensin NAVI No.532」
- 2021.02.20
- Sensin NAVI
- sensin
皆様こんにちは、ブロガーのMるでございます。
今回お届けするSensin NAVIですが、「レッスンその532」となります。
・・・今回のお題は!令和3年度介護報酬改定とこれから②「Sensin NAVI No.532」をお送りします!
「最近このNAVIのアクセス数もなかなか多いみたいね・・・」
「それだけ注目されている証拠だ!」
「特に制度改正の話がアクセスされているようです・・」
それでは!「Sensin NAVI NO.532」をお送りします。
さて、いよいよ間近に迫る法改正。
介護保険制度の改正を経て、法に定められた介護報酬や加算の単位数がまた見直されることになります。全体として+0.7%の増額にて、各サービスにおけるそれぞれの算定構造が公開されています。
事業によってその上がり幅は異なりますが、概ね増額される傾向にあります。
前回は減算に関する内容を紹介しましたが、今回はまた別の視点。
国は地域包括ケアシステムの構築を推進しています。
地域包括ケアシステムは、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい生活を最期まで送れるように、地域内でサポートし合うシステムのことです。
現在、介護職が不足し、既存の介護保険サービスだけでは高齢者を支え切れない状況になりつつあります。それによって、公的なサービスだけでなく地域の力を活用しながら高齢者を支えていくシステムの構築が必要となっています。
そんなシステムこそ地域包括ケアシステムなわけです。
システムでは、自立支援や重度化防止、或いは認知症ケアが謳われていますが、
最近ではとりわけ栄養や口腔に関する事項が注目されています。
『アルツハイマー型認知症と食事や栄養、口腔の関係性』について、
全国的にこれまでに多くの報告例があります。
低エネルギーの食事は酸化ストレスを減らし、認知機能低下に対して保護的な効果を発揮し、
一方の高エネルギーの食事は酸化ストレスを増大させ、認知機能の低下を招く可能性を指摘しています。
またほかにも「地中海食」が認知機能低下に予防的に作用するという報告もあるようです。ちなみにこの「地中海食」ですが、あまり馴染みがないかもしれませんが、俗にイタリア料理、スペイン料理、ギリシア料理など、海外の地中海沿岸諸国の食習慣を言います。
さらに、口腔に関して言えば、重度歯周病もアルツハイマー型認知症との関係性が報告されています。
また歯の喪失は、認知症の発症リスクを増加させる、要介護高齢者のうち、口腔ケアを受けている者と口腔ケアを受けていないものと比較して、前者の認知機能の低下が抑制されたとの報告もあるわけです。まだまだ研究途中とはいえ、少しづつ立証されつつあります。
口腔衛生が保てていない場合、口腔内には歯周病菌をはじめ様々な雑菌が繁殖されます。
これらが体内に入り込んでしまうことで、糖尿病や脳梗塞、動脈硬化、さらには認知症リスクも高まるとされています。
このように高齢者の口腔機能の低下は、生命の維持を困難にするだけでなく、様々な疾病にも陥る危険性が大いに秘めているわけです。
・・・こうした実情から、栄養状態と口腔衛生状態を良好にすること、きちんと管理していくことこそ、
認知機能の低下や発症予防、あるいは進行を抑制する可能性があるとしています。
また最近ではそのフレイルに対する取り組みとしても注目されています。
その為、歯科医師や歯科衛生士と、管理栄養士や栄養士の連携がこれからますます需要が高まると言われており、
これまでの介護保険サービスに設けられた「栄養」あるいは「口腔衛生」に係る加算もそういった事由からの創設と考えます。
・歯周病や歯の喪失を予防とともの「口腔機能を維持改善」すること。
・その口腔機能にあった「健康な食事を摂取」すること。
これまでの報告は去ることながら、ますます今後それらの効果を期待した研究も同時に行われることになります。
さて、先述したように栄養や口腔衛生に関すると取り組みとして、現状様々な加算が存在するわけですが、
今回新たに「栄養アセスメント加算」「栄養管理体制加算」あるいは「口腔・栄養スクリーニング加算」などが創設されます。
単に施設系だけでなく、通所介護などの居宅系サービスのほか、認知症対応型グループホーム、小規模多機能型居宅介護などそのサービスは数多いもの。
ここで敢えて紹介したい内容…
それは介護保険施設における「口腔衛生管理体制加算」の廃止と包括化についてです。
今回の改正で示されたのが、
「口腔衛生管理体制を整備し、入所者ごとの状態に応じた口腔衛生管理を行うことを求める。
その際、3年の経過措置期間を設けることとする」
・・・とあります。
一定の経過措置は設けられたものの、この「口腔衛生管理体制を整備」については、
口腔衛生管理体制加算は廃止し、同要件を一定緩和した上で、基本サービス費の要件とするもの。
つまりは運営基準になるわけです・・。
これは栄養同様に、「口腔衛生」に係る取り組みも一層重要視されてきたことにほかありません。
この加算を取得している介護保険施設が全国で約3割といった低水準であることも、今回の英断に結び付いたものと言えます。
ちなみに、現行の口腔衛生管理体制加算は月単位で30で、その算定要件は以下のようなもの。
(ア) 介護保険施設において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月 1 回以上行っていること。助言および指導内容は「口腔機能維持管理にかかわる助言内容」に記載し保管すること。
(イ) 歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士の技術的助言及び指導に基づき、入所者又 は入院患者の口腔ケア・マネジメントに係る計画が毎月 1 回作成・保管されていること。「口腔ケア・マネジメント計画書」は、1 施設につき 1 部作成し、月に 1 回内容の見直しを行うこと。
・・・となります。
似たような加算で、「口腔機能維持管理体制加算 (110単位/月)」がありますが、
こちらの算定要件は、
(ア) 歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対し、口腔ケアを月 4回 以上行った場合に算定。
(イ) 当該施設が「口腔機能維持管理体制加算」を算定している場合。
(ウ) 口腔ケア実施日ごと、入所者ごとに「口腔機能維持管理に関する実施記録」を作成・保管すること。
・・・となります。
最後にその口腔衛生管理体制ですが、既存の加算とは異なり、要件を一部緩和と示されています。
しかしながらどこまで厳密に緩和されるのかは現状不透明です。
解釈通知やQ&A待ちではありますが、
これまでこの加算を算定していない事業所は、「イチからの取り組み」が必要となりますゆえ、
まずが既存の管理体制加算の要件にある「計画書」等を改めてチェックしておく必要があると言えます。
以上!令和3年度介護報酬改定とこれから②「Sensin NAVI No.532」をお送りしました。
それではまた。
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