令和3年度介護保険制度改正「読解への序章Ⅵ」「Sensin NAVI NO.518」
- 2021.02.04
- Sensin NAVI
- sensin
皆様こんにちは、ブロガーのMるでございます。
今回お届けするSensin NAVIですが、「レッスンその518」となります。
・・・今回のお題は!令和3年度介護保険制度改正「読解への序章Ⅵ」をお送りします!
「続くわね、序章。今回で6回目じゃない」
「まだまだ続きそうだな・・」
「3年に一度ですからね・・」
「3年の度にな・・」
それでは!「Sensin NAVI NO.518」をお送りします。
厚労省の社会保障審議会より、令和3年度の介護報酬改定に関する詳細が公開されています。
今回もその介護報酬に係るお話です。次回の介護報酬は全体で0.7%の増額とされ、うち0.05%がコロナ対応として考えられています。
その介護報酬の全体像ですが、
介護老人福祉施設や介護老人保健施設などの施設系、訪問介護や看護、通所介護などの居宅系、さらには小規模多機能型居宅介護などの地域密着系それぞれの介護報酬に係る『算定構造』が示されています。
ではその中身はどうなのか?
事業別で見たときの変化点は?
各加算の行方は如何に?
業界が注目する、三年に一度の改正の全容がいままさに明らかにされつつあります。
今回はサービス別ではなく、敢えて幅広く前回同様「抜粋版」として進めていきます。
居宅サービスにうち、通所介護及び通所リハビリについて、これまでの「入浴介助加算」がまたひとつ見直されることになります。
「入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して、入浴介助を行う。」
つまり、入浴介助できる職員と入浴の設備が整っている環境にて、実際にご利用者に入浴してもらうことで、
ご利用者ひとりにつき50単位/日を算定することができました。
現行の入浴介助加算は50単位でしたが、新年度からは入浴介助加算ⅠとⅡの2種類が新設されたことにより、後者は自宅での入浴自立等を目指した入浴介助が求められます。
・入浴介助加算(Ⅰ):40単位
・入浴介助加算(Ⅱ):55単位
・・となりますが、後者の(Ⅱ)の算定要件が非常にハードルが高い!
今後の解釈通知やQ&Aでの判断となりそうですが、(Ⅱ)を算定するのは難しい気がしてなりません。
実質、既存の入浴介助加算:50単位が入浴介助加算(Ⅰ):40単位に相当するものとなりますが、
今回の改正を経て-10単位です。そもそもの基本報酬も+6~+10ですので、軽度者を多く受けいれている事業所にとっては全体で減収となりそう・・・。
では(Ⅱ)が如何にハードルが高いか・・・。
その要件も含めてご紹介していきます。
「入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件」
・入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して行われる入浴介助であること。
・医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員等(以下「医師等」という。)がご利用者の居宅を訪問し、浴室でのご利用者の動作及び浴室の環境を評価していること。
この際、ご利用者の居宅の浴室が、ご利用者自身又は家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にある場合は、訪問した医師等が、介護支援専門員・福祉用具専門相談員と連携し、福祉用具の貸与・購入・住宅改修等の浴室の環境整備に係る助言を行うこと。
・ご利用者の居宅を訪問した医師等と連携の下で、ご利用者の身体の状況や訪問により把握したご利用者の居宅の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成すること。
・入浴計画に基づき、個浴その他のご利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行うこと。
つまり、入浴介助加算(Ⅱ)は、自宅の「浴室環境」確認の為の「居宅訪問」、「入浴行為の評価」、そして「個別の入浴計画の作成」が算定要件に義務付けられたわけです。
詳しくは今後発出されるQ&Aを見てみないとわかりませんが、
特に最後の
「個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行う」という算定要件をクリアできる事業所が果たしてどれだけあるのか?
居宅の浴槽とは、いわば家庭のお風呂であり、それは個人浴槽が連想されます。そのような環境設備が、通所系サービスにそもそも備わっているのか・・・。或いは仮想でも良いのか否か。
それにリフト浴や機械浴で対応している、いわゆる中重度者となるご利用者は、この算定要件に当てはまらないのでは…とも考えてしまいます。
つまりは、 この加算が算定できるのは、個浴の設備がある小規模、例えば地域密着型通所介護のようなデイサービスくらいではないかと思うわけです。
一方、個別浴槽を設置している大規模のデイサービスも存在します。
・・・であれば、一部加算を取れるご利用者もいるのでは?
とも考えてしまうわけです・・・。
しかし、加算の対象者を区別して、一部のご利用者だけに計画書を作成しつつ、それらを管理していくには、なかなかの負担増と言えます。
あとはやはり加算の単価です。
その負担と(Ⅰ)と(Ⅱ)の差だけ見ても、
その労力や負担に見合う報酬か否か・・・。
既存のADL維持等加算もかつてはそんな考えが主でした。
科学的介護を目的として始まった加算ですが、労力や負担に見合う報酬ではないことから、対象とされた全国の通所介護事業所の大半がその算定への取り組みを敬遠する事態となったことは、言うまでもありません。
わずか数パーセントの算定率であった加算も、今回の改正を経て、その要件や単価が見直されることになります。おそらく算定する事業所もこれから増加していくと思われますが、入浴介助加算(Ⅱ)も同じように、次回さらに3年後の改正ではまた見直されることになるように思えます。
今回は「入浴介助加算」を焦点としたNAVIとなりましたが、この加算ひとつとってもとにかく奥の深い話です。
しかしながら、通所系事業所にとって、今後の運営や経営を揺るがす、非常に大きなポイントのひとつとなりそうです。
算定すべきか?
敢えて算定しないべきか?
そもそも算定できないのか?
今後厚労省から発出されるQ&Aに要注目な、そんなNAVIをお送りしました、
以上!令和3年度介護保険制度改正「読解への序章Ⅵ」をお送りしました。
それではまた。
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