「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」とは?「Sensin NAVI NO.499」
- 2021.01.13
- Sensin NAVI
- sensin
皆様こんにちは、ブロガーのMるでございます。
今回お届けするSensin NAVIですが、「レッスンその499」となります。
・・・今回のお題は!
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」とは?をお送りします!
「えらい長いテーマだこと・・・?」
「・・・てか、今回で499回目ね」
「なんの法律だ!?」
「というか、もうそんな回数なのか!?」
「障害者総合支援法ですね・・・」
「なにィィッ!!!」
それでは!「Sensin NAVI NO.499」をお送りします。
平成21年、2009年の政権交代後に発足した「障がい者制度改革推進本部」。
これはこれまでの障がい者に係る制度の集中的な改革を行うために設置されたもの。
またその中では、障がい者施策の推進に関する事項について意見を求めるために、障がいに係る当事者や障がい者福祉に関する事業に従事する者及び学識経験者等で構成される「障がい者制度改革推進会議」も開催され、障がい者制度の見直しに向けた検討が始められたわけです。
その会議を経て、障がい者に関するさまざまな制度の改革について議論が行われることになります。
それが「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」。
そして、この意見を踏まえ、国は「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を、
2010(平成22)年6月29日に閣議決定してます。
これにより、応益負担を原則とする現行の障害者自立支援法を廃止し、
制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づいた地域生活支援体系の整備等を内容とする『障害者総合福祉法』(仮称)の制定に向け、第一次意見に沿って必要な検討を行い、2012(平成24) 年の通常国会への法案提出と、2013(平成25) 年8月までの施行を目指す。」こととされたわけです。
この障害者総合福祉法(仮称)については、2010(平成22)年4月に障がい者制度改革推進会議の下に設置された「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」(以下「総合福祉部会」という。)において、新法制定への検討が始められました。
その後、
①障がい程度区分を障害支援区分に見直すこと
②障がい者の意思決定支援を明確化すること
③地域生活支援事業に関し都道府県と市区町村の役割分担を明確にすること
・・・等をポイントに議論が進められ、現:障害者総合支援法が誕生することになります。
2012(平成24)年6月27日に公布された「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」(平成24年法律第51号)により、
従来の障害者自立支援法から
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」になりました。
通称、障害者総合支援法の誕生です。
障害者総合支援法は三年に一度改正が行われることから、令和3年もその改正年にあたります。
現在、国の審議会にてその改正に係る協議が進められています。
そんな障害者総合支援法ですが、その概要を紹介していきます。
まず①目的・基本理念にて、
「自立」という表現から「基本的人権を享有する個人としての尊厳」と明記されます。
また障害者総合支援法の目的の実現のため、障がい福祉サービスよる支援に加えて、地域生活支援事業その他の必要な支援を総合的に行うこととしています。障がい福祉に係るサービスも介護保険制度同様多種に渡ります。在宅を想定したものから施設入所など様々。障がいの方々の就労に関するサービスもあります。後者の地域生活支援事業については、のちほど紹介します。
次に②障がい者の範囲の見直しが図られることになります。
それは、これまでの支援の対象が身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者(発達障がい者を含む)に限定されていたことから、障害者総合支援法では一定の難病の患者が対象として加えられました。
一定の難病とは、「難治性疾患克服研究事業」の対象である130疾患と関節リウマチとしています。
難病の患者への福祉サービスにつきましては、これまでは補助金事業として一部の市区町村での実施にとどまっていましたが、障害者総合支援法の対象となることにより、すべての市区町村での実施が可能になりました。
さらには③障がい支援区分への名称・定義の改正です。
障がいの多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示すものとして、
新たに「障がい支援区分」へと改正されました。
特に知的障がい及び精神障がいについては、コンピューター判定による一次判定で低く判定される傾向がありましたが、
新法では区分の制定にあたり適切な配慮その他の必要な措置を講じています。
それから④障がい者に対する支援の見直しです。
住み慣れた地域における住まいの場の確保の観点から、
「共同生活介護(ケアホーム)」を「共同生活援助(グループホーム)」に一元化。当法人でも伊賀市を拠点にこのグループホームを運営しています。
また、グループホームにおける新たな支援形態として、外部サービスの利用によるサービスが可能な「外部サービス利用型」が設定。
それから「重度訪問介護」及び「地域移行支援」は、それぞれ利用対象が拡大。
前者の重度訪問介護は、これまでは重度肢体不自由者が対象のサービスでしたが、新たに重度の知的障がい者及び精神障がい者も利用可能となっています。
後者の地域移行支援についても、これまでは施設に入所している障がい者及び精神科病院に入院している精神障がい者が対象でしたが、「地域における生活に移行するために重点的な支援を必要とする者」も対象に追加されています。
次に⑤地域生活支援事業の見直し。
これは前回のNAVIでも紹介しましたが、介護分野が地域支援事業であれば、障がい分野はこの事業に該当します。①の通り、障がい福祉サービスと併せて、総合的に支援することが謳われています。
法律の目的に、地域生活支援事業による支援を行うことが明記されたことを受け、市区町村及び都道府県が行う地域生活支援事業の必須事業に新たな事業が追加されました。
・市区町村が実施する地域生活支援事業の必須事業としては、障がい者に対する理解を深めるための研修・啓発
・障がい者やその家族、地域住民等が自発的に行う活動に対する支援
・市民後見人等の人材の育成・活用を図るための研修
・意思疎通支援を行う者の養成(手話奉仕員の養成を想定)
・・・が追加。
また都道府県が実施する地域生活支援事業の必須事業としては…
意思疎通支援を行う者のうち、特に専門性の高い者を養成し、または派遣する事業(手話通訳者、要約筆記者、触手話及び指点字を行う者の養成または派遣を想定)。
そして、意思疎通支援を行う者の派遣に係る市区町村相互間の連絡調整等広域的な対応が必要な事業。
・・・が追加されています。
そして⑥サービス基盤の計画的整備についてです。
障害福祉計画に定める事項として、
(1)「サービス提供体制の確保に係る目標に関する事項」
(2)「地域生活支援事業の種類ごとの実施に関する事項」
・・・を加えるほか、いわゆるPDCAサイクルにそって障害福祉計画を見直すことを規定する等、
サービス提供体制を計画的に整備するための規定が設けられました。
また、自立支援協議会の名称につきましても、地域の実情に応じて定められるようにするとともに、当事者やご家族の参画が法律上に明記されています。
最後に⑦検討規定です。
障がい福祉サービスや支給決定の在り方等幅広い内容について、法律の施行後3年を目途に検討を行うことを規定しています。
具体的には、
常時介護を要する障がい者等に対する支援、障がい者等の移動の支援、障がい者の就労の支援その他の障がい福祉サービスのあり方をはじめ、障がい支援区分の認定を含めた支給決定、障がい者の意思決定支援、障がい福祉サービスの利用の観点からの成年後見制度の利用促進のあり方などが対象とされています。
また手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障がいのため意思疎通を図ることに支障がある障がい者等に対する支援、そして精神障がい者及び高齢の障がい者に対する支援のあり方
・・・等についての検討を規定しているわけです。
以上!「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」とは?をお送りしました。
それではまた。
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