事業運営に係る「設備基準」。「Sensin NAVI NO.187」
- 2019.08.13
- 高齢者福祉
- sensin
皆様こんにちは、ブロガーことMるでございます。
今回お届けするSensin NAVIですが、「レッスンその187」となります。
今回のお題は・・・・
今回は、様々な事業を運営するにあたり必要な設備基準についてお送りします!!
「設備基準?つまりどういうことよ」
「福祉に係る事業運営には、人員や運営以外にも、建物や備える物品等の設備基準がそれぞれ定められているんですよ」
「ほほぅ・・・」
・・・というわけで、ここからは「本番」です。
まず、介護保険法や障害者総合支援法等制度に基づく事業を運営する場合、その指定権者である都道府県(市町村)等からの事業指定を受けなければなりません。
…例えば介護保険サービスであれば、その指定を受けるためには介護保険法に定められた様々な基準を満たす必要があります。
その基準は人員に関することから、運営及び設備と多方面にわたります。
今回ご紹介するのはその中の基準の「設備基準」。
今回は介護保険サービスの「通所介護」を参考にご説明していきます。
通所介護に係る設備基準の要件が以下の内容で・・・
①食堂と機能訓練室を合計した面積が、利用定員1人あたり3㎡以上であること
②ご利用者が静養できる場所(静養室)と事務室を設けること
③相談室に関して遮蔽物などを設けることで相談内容が漏れないようにすること
④消防設備その他の非常災害に際して必要な設備を設けること
・・・とされています。
上記①~④については、あくまで制度と指定権者が発令する条例によるものとなり、
指定権者によっては独自の考え方がありますゆえ、事業の指定及び運営を考える際には事前の確認が必須と言えます。
「え?まさかの終了・・・?」
「・・・なわけない。ここからが本題なわけ」
ここからはその設備基準の詳細について!
まずは①に関する「食堂と機能訓練室」。
食堂と機能訓練室を合計した面積が、利用定員1人あたり3㎡以上であることがまず必要となります。
ただし、食事機能訓練に支障がない広さを確保できれば、同一の場所にすることも可能です。
なお、複数の部屋を多数設置して基準を満たすことは、基本的に認められていません。
さらにその食堂については、介護や支援する職員も同席できるように、ある程度の余裕を持った空間とすべきで、単に1人あたり3㎡とはなっていますが、
実際その基準のままの構造では正直窮屈感を感じるかと思います。・・・ですので、少しでもゆとりが持てるよう基準以上の広さがあってもよいかと考えます。
さて!ここで言う「機能訓練」ですが、体操等を通じてご利用者の身体能力等を低下させないメニューのこと。そしてその機能訓練を行うための専用のお部屋が機能訓練室というわけ。
介護保険サービスにおける通所介護、いわゆるデイサービスは、ご利用者の自立生活を支援する在宅サービスのひとつとして位置付けられています。
個々の身体機能にあわせた機能訓練を行うこともデイサービスの役割で、単に食事や入浴、レクリエーションを実施するものではありません。
運営基準の基本方針としても、「機能訓練」が明確に記載されています。そしてこの機能訓練も、一概に大規模なトレーニングジム的な設備だけを指すわけではありません。機能訓練は様々な道具や設備の活用のほか、専門的知識や技術を有する機能訓練に掛かる職員によるものと用途は様々です。
次に静養室。
ご利用される事業所の定員に対し、複数のご利用者が同時に利用できる専用の部屋を確保することが必要とされています。とりわけ面積の基準はありませんが、静養室と言うくらいですので、休むことを前提としてベッドの設置スペースは最低必要と考えます。
続いては事務室。
事業所に従事する実務が事務処理や会議を行う、いわば仕事場のこと。
こちらもその広さに関してする細かな規定はありませんが、職員の配置や備品を設置できる程度のスペースが必要となります。
そして相談室。
独立した相談室を設けることができればそれに越したことはありませんが、事務室と相談室を同じ部屋として、パーテーションで区分することでも可能です。
要は遮蔽物などを設けることで相談内容が漏れないようにすることが必要です。
ですがこういったパーテーションを用いての区分は、指定権者によってその可否が異なる場合があります。
ですので、例えばその事業所の平面図などを持参した上で、事前に指定権者と相談・協議することをお勧めします。
最後に、消防設備その他の非常災害に際して必要な設備。
運営基準には、非常災害時の避難・救出計画を立てたり、衛生管理に努めなければならないなどの定めがあります。
「避難しやすい建物なのか・・」
「衛生管理が保てる設備なのか・・」
・・・などが焦点であり、さらには災害等有事の際の対応等についても問われることになります。
具体的には、例えば消防計画の内容のほか、避難経路の有無とその確保状況、衛生管理のできる手洗い場の有無、あるいは消火器等の完備などです。
最近では防災以外にも、防犯に関する対策や施策についても考える必要があるとされています。
ここで!
①の設備基準にもありました「食堂と機能訓練室を合計した面積が、利用定員1人あたり3㎡以上」について、詳しくご紹介できればと思います。
先述したのはあくまで通所介護の設備基準であって、事業によってはその基準そのものが異なります。
食堂や機能訓練室のほか、入所や入居系のサービスに至ってはその居室の面積や廊下幅も最低基準が設定されています。
居室の面積を例とすると、特別養護老人ホームや短期入所生活介護(ショートステイ)であれば、1名あたり10.65㎡。
介護老人保健施設は1名あたり8㎡、また有料老人ホームであれば1名あたり13㎡、認知症対応型グループホームは1名あたり7.43㎡と、このようにその事業の目的や主旨によってその設定は様々です。
そして参考までに!
児童福祉分野でも、保育園であれば年齢別に1名あたりの面積が定まっており、第二種社会福祉事業である放課後児童健全育成事業である学童保育についても、1名あたり1.65㎡とされています。
さらには障がい福祉分野ですと、生活介護等に係る訓練・作業室の面積は、定員1人当たり3.3㎡以上必要となります。
このように、事業を運営する上にはそのサービスを直接提供する人員だけでなく、その事業に掛かる運営方法や取り扱いのほか、事業所として備えるべき設備が定められています。
人員・運営・設備と、それぞれのいずれかが満たしているだけでは成り立たないわけで、事業を運営するにはこうした各設備の維持管理についても、同時に求められると言うことです。
・・・以上、「事業運営に係る設備基準」をご紹介しました。
それではまた。
「まさかのオールマイティーが求められるわけね・・・」
「ふふふ・・・そういうことだ。人員と運営、設備、まさに三位一体とはこのこと・・」
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