特養の「いま」。 「Sensin NAVI NO.102」
- 2018.09.06
- 高齢者福祉
- sensin
皆様こんにちは、ブロガーのMるでございます。
今回お届けするSensin NAVIですが、「レッスンその102」となります。
今回のお題は・・・・
私たち社会福祉法人等が運営する特別養護老人ホームについて。
「今回は僕の得意教科ですね」
「いや、ボクだってユニット型なら負けませんよ」
「ふっ、えらそうに…」
「なにこの茶番・・・」
さて、ここからは「本番」です。
一般的に皆様からは「特養(とくよう)」と略されるこの社会福祉施設。
老人福祉法上での呼び名でありますが、介護保険法では介護老人福祉施設を指します。
どっちや!
・・・と、いささか突っ込みがちですが、どちらも間違いではなく正解です。要は根拠となる法律が違うということ。
しかしながら実際に両方の法律をくらべてみると、様々な守るべき基準等確かに微妙に異なっていたり、ニュアンスが若干違っていたりします。
まあ混乱しないよう、よく熟読することが大事ですね。
さて、その特養ですが、少し前までは希望してもなかなか入れない、待機者が多いというイメージが先行していたかと思います。
しかしながら前々回の法改正にて、入所の在り方や指針が見直されたことで、基本要介護3以上がその入所要件として定められました。
軽度の方については、特例入所といった方法もありますが、各保険者の審査や判断、各種手続きが別に必要となるため、実際に入所される方は以前と比較しても激減したようです。
そんな中、最近の調査にて、約60%超の特別養護老人ホーム(特養)が介護人材の不足に陥っており、そのうち10%近くは利用者の受け入れを制限しているとのこと。
この調査は今年2~3月、全国にある特養約3300施設を対象に、インターネットで実施したものですが、有効回答数はそのうちの628施設で、約19%の回答率となっています。
この調査では、ほかにも今年1月1日時点での施設の要員の過不足について問われており、
なんと回答した施設の約64%にあたる404施設が「不足」と回答しています。
さらにその不足と回答したうち50施設(約12%)が、
特養本体の施設や併設するデイサービスやショートステイで「利用者の受け入れを制限している」と答えています。
一方で特養本体の受け入れ制限をしていると回答した20施設では、1施設あたり平均11.1床が空いていたそう。
開設の際にやむなく、一部休床や入所者の制限を行った施設は35.9%もあったそうで、
その理由を複数回答で尋ねたところ、
①「運営基準上の必要職員数が確保できなかった」
②「職員が順応しやすいよう順次の受け入れとした」が共に50.0%で最も多い回答で、
ほかにも「基準上の職員数は満たしていたが、施設独自の配置基準を満たせなかった」も32.1%あったそうです。
受け入れるcapacityはあっても、制度上の人員基準を満たすマンパワーがそもそもいない。
そんな理由が大多数で、いかに全国レベルで人員が不足しているかが理解できるかと思います。
増える要介護者、必要とされる為に整備された特養、本来の機能を最大限に活かすことができず、まさに理想と現実の歪みが著名に現れているといえます。
最近では、その人員確保の困難さから、各行政区域で策定される介護保険計画にて、需要の必要性から様々な整備計画を打ち立てるも、
率先して手を挙げる事業者が見つからず、敢え無く計画そのものが頓挫したり、地域によっては全く供給に至らないサービスも存在してきています。
さらにさらに別の調査では、特養開設時の実態検証を目的として、開設後の職員の定着状況を調べています。
すると、例え上手く採用したとしても、開設1年後には新設法人で4割以上、既存法人で3割弱が退職している事実。
「職員の確保と定着」が昨今の重要課題であり、職員不足は既存の職員への負荷を増長するだけでなく、さらなる負の連鎖に繋がりかねません。
安定的な経営を計る上で、採用だけでなく定着率をいかに維持していくか、以前のNAVIでもご紹介したように、職員の手当て、給与面での処遇改善ももちろん大事な要素です。
しかしながら、大半の退職理由が「職場の人間関係」とされる中、ひとりひとりのメンタルヘルスのほか、いかに働きやすい環境を事業者が整えていくかについても重要といえます。
それでは、また。
「ますます目が離せないわね(汗)・・・」
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