理想と現実の狭間で「Sensin NAVI NO.72」
- 2018.03.04
- 高齢者福祉
- sensin
皆様こんにちは、ブロガーのMるでございます。
今回お届けするSensin NAVIですが、「レッスンその72」となります。
さて、いよいよ介護保険法の改正もあとわずか。
すでに新たな報酬改定や様々な基準等見直しが行われる中、当法人を含めた介護保険サービスに携わる事業所の皆様もその諸準備を着々と実施されているかと思います。
そんな中、今回はその改正に先立ち開催されました、
少し前の社会保障審議会介護保険給付分科会において、ある有識者のひとりが、「制度の多様化、複雑化ゆえ、その内容の理解に事業所側が追い付いていない」ことを懸念されていました。
確かにサービスの細分化と具現化に向けて、制度として設けることは必要です。
しかし、介護予防・日常生活支援総合事業の開始をはじめ、
介護保険法における各サービス体系は以前と比較しても確実に多様化し、さらに細かく設定されています。
新たに設けられた加算等、実績に応じた報酬についてのインセンティブとして付加価値を設けることはうなづけるものの、
それを実施するためのプロセスや実際の仕事量との差異も含め、いまいち浸透されていないのが現状のように感じます。
細分化されることは、もちろん制度の維持と確固たる評価のために必要なことといえますが、
国が理想とする施策に対し、それを実行する、いわば基盤となるマンパワーが、質や量的にも正直追い付いていないように感じるのは、私だけではないはず。
特に、介護支援専門員を例に、そうした制度の変革と、国が推奨する地域包括ケアシステムの構築に向けて、介護支援専門員はこれまで以上の期待と役割が求められるようになります。
インフォーマルなサービスも含め、それぞれの地域に点在する多くの社会資源を把握し、かつ制度の変革に順応したマネジメントを、ひとりひとりのニーズに応じて展開しなければなりません。
居宅系サービスだけでも、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護などなど、多くのサービスがございます。
そしてそのサービスごとに様々なプラスアルファが国の制度のもと設定されています。
必要な最低限の人員以上の配置をしている事業所、リハビリテーションに特化した取り組みを行っている事業所、栄養管理についての実践と評価を行っている事業所など、事業所によってその体制や力をいれている取り組みも、以前と比較してもその温度差、
サービスそのもの自体の格差も生まれてもきています。
そのような中で、介護支援専門員はいかに適正かつ適切な判断のもと、ご利用者やそのご家族へのマネジメントに繋げていく必要があります。
つまり、介護サービスを提供する側だけでなく、マネジメントを行う介護支援専門員自身、ひとりひとりについても、各介護サービスの基準、そして加算項目の理解と熟知が求められるということ。
介護保険法が施行され、介護支援専門員が生まれた時代とは明らかに取り巻く情勢や環境は変化しています。
もちろん国もその理想に向けて、これまで介護支援専門員の更新制度や主任介護支援専門員の導入、また、より専門性を求め、受験資格や研修内容の見直しなどがこの間図られています。
それに平成30年度からは、その指定権者が県から各市町村に変わります。
つまり、いままで以上に実地指導等が行われると予想され、確実に介護支援専門員を取り巻く制度や管理体制が築き上げられてきています。
冒頭にも話をしましたが、
「制度に追い付いていない」。
むしろあまりにスピードが速く、「追い付けない」と言っても良いかもしれません。
しかし、適切なマネジメントはもちろん、事業の維持と安定を図る上では、それらを決して度外視するわけにはいけません。
自分たちの個々の力、自己防衛する為の力を今もこれからも養っていく必要があります。
最後に、介護職員についての処遇は、昨今多くの見直しが行われている一方で、こうした相談業務や計画作成等に係る職種についての処遇が未だ見直しが成されていないのが現状です。
求められる役割同様、やはりこれらの職種に関わる人たちの処遇についても、改めて国を上げて積極的に検討していただきたいものです。
それではまた。
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