Welcome to the Sensin NAVI 「レッスンその23」
- 2017.07.12
- 法人
- sensin
2015年の4月に厚生労働省が設置した検討チームのことです。
高齢者介護・保育・障がい者向け施設の一体化を進める目的として設置されたものですが、
実はこの検討チームでは、介護福祉士・保育士など、いわゆる福祉系に係る国家資格の一本化というものも議題のひとつとして取り上げています。
団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」、そして介護・保育分野の人材不足、特に山間地などの過疎地での人手不足が進み、介護福祉施設や保育園など児童福祉施設の運営が困難になることが予想されることから生まれた組織。
介護福祉施設、保育園、障がい者福祉施設などの福祉施設の統合は、昨今の地域包括ケアシステムでも謳われている、地域共生社会の実現を目したもので、
すでに次回の介護保険法の改正にて、介護福祉施設と障がい者福祉施設との「共生サービスの構築」が進められています。
一方で、複数の分野に対応できる人材を配置することで、少人数での福祉サービスを提供できる体制を整えたいねらいもあるそうです。
こちらについては、現に幼稚園と保育園の機能を一体化した「認定こども園」の設立に伴い、保育士・幼稚園教諭の資格者がそれぞれの資格を別に取得する際の特例制度が、すでに全国的に実施されています。
保育士と幼稚園教諭については、ともに児童の保育・教育に関わる資格であり、児童を対象とした仕事という点で共通項が多いため、比較的早期段階でこのような特例制度の実現に至ったと思われます。
しかし、保育士と介護福祉士で考えると、「乳児や幼児を対象とした保育」と「高齢者を対象とした介護」ということで、求められる技術や本質が大きく異なることから、資格の統合にはなかなかハードルが高いようです。
国や地方自治体が抱える課題に向けての施策といえますが、当の有資格者からは「現場をわかっていない」「そんなことあり得ない」「負担が大きくなるだけ」と、当時のアンケート結果からも反対意見が圧倒的でした。
そんな中でも、人材の確保はもはや必須であり、国の施策として、介護福祉士や社会福祉士、精神保健福祉士が保育士試験を受験された場合の一部科目免除が検討され、実現化に向けてすでに動き出しています。
このような様々な動きは、私たち保育や介護、障がい等様々な福祉分野の事業を運営する法人にとって興味深いものである一方、その在り方や今後の展開など、事業運営に直結する内容なだけに、今後も非常に目が離せない内容となっています。
今後の動向や進捗について、機会があればまたご紹介したいと思います。
最後に補足ですが、この国家資格の一本化の案について、現在参考とされているのが、
福祉先進国と言われる北欧のフィンランドの仕組みです。
そのフィンランドで導入しているのが社会・保健医療の共通基礎資格「ラヒホイタヤ」です。
「ラヒホイタヤ」とは、「日常ケア」にあたる意味で、
准看護師、保育士などの保健医療部門における7つの資格と、ホームヘルパーなど介護ケア部門における3つの資格の
計10の分野の資格を一体化したものです。
施設ケアから在宅ケアへの政策転換や、在宅ケアにおいて「馴染みがあり、かつ質の高い人に一貫したケアを受けたい」という多くの高齢者の要望を受けて誕生したのがこの資格です。
ちなみにこの資格取得のための教育期間は3年間、必要単位数は120単位で、その内の約29単位(約1100時間)は現場実習が主となっています。
すべてをそのまま私たちの国に置き換えることはできませんが、あくまで参考として考えられているそうです。
それではまた。
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