2019年7月

令和元年10月開始「介護職員等特定処遇改善加算」。「Sensin NAVI NO.174」

  • 2019.07.25
  • 高齢者福祉
  • Posted by | sensin

皆様こんにちは、ブロガーことMるでございます。

今回お届けするSensin NAVIですが、「レッスンその174」となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のお題は・・・・

 

 

 

今回は、令和元年10月に施行される「介護職員等特定処遇改善加算」についてお送りします!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特定・・・・処遇改善?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「介護職員等特定処遇改善、いわゆる俗に特定加算と呼ばれるものです」

「消費税増税に併せて施行される新たな加算のことです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なによ、あんた知ってるの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは多少なりとも。私たち業界にとって大事な話ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほほぅ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・というわけで、ここからは「本番」です。

 

 

 

 

さて、今回の新たな加算であります「介護職員等特定処遇改善加算」は、介護職員のさらなる給与、いわゆる処遇の改善と人材確保並びに定着を目的として新設されます。

これまでの介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)を算定していることを前提、各対象事業所が現在算定しているサービス提供体制強化加算や特定事業所加算の状況を加味しながら、それぞれ(Ⅰ)もくは(Ⅱ)に分類されます。もちろん上位である(Ⅰ)がその額を算出する加算割合は高く設定されています。

 

 

この加算ですが、様々なメディアをはじめインターネット上でもその情報が多く取り上げられています。

介護を担う、携わる方は少なからず耳にはしているはず。

 

その中で・・・・・・・

 

 

「月額80000円又は年収440万」

「経験・技能のある介護職員に対して月額80,000円が支給」

 

 

 

このフレーズ(金額)だけが半ば拡散している状況にあるようで、中には誤った解釈や受け止めをされている方々もみえるようです。

この根拠たるものは、いわば加算を算定した場合に想定される一種の目安となる数値であって、

あくまで対象者を事業所単位「1人」のみに限定した場合などの要件が合わさることで、はじめてこの数値(月額80,000円)に結び付きます。

・・・つまりは実際に支給される範囲や額については様々に強弱があり、一概にこの数値がこの加算のすべてを表すものではないことをまず理解しておく必要があるといえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・しかしながら、やはりここで気になること。

では実際のところどうなのか?

いくら支給されることになるのか?

 

 

 

 

 

 

・・・といったところがやはり話の焦点かと思います。

今回のNAVIでは、その介護職員等特定処遇改善加算の考え方を少しばかりご説明していきたいと思います。

来るべき10月の改正と導入に向け、少しでも参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

さて!

今回の加算(以下:特定加算)は、これまでの介護職員処遇改善加算とは別枠で組み立てる必要があり、先述した(Ⅰ)又は(Ⅱ)によってその改善額として算出する割合が異なります。

また事業の種別によってもその割合は異なるもので設定されており、それぞれの事業所単位で支給することもできますが、法人単位で一括で配分することもできるようになっています。

 

 

 

ここでまず着目すべきなのが「月額80000円又は年収440万」の考え。

 

例えば比較的小規模の通所介護事業でお話すると、地域密着型の通所介護(定員19名以下)であれば、月額収入はおおよそ200万といわれています。

そこに特定加算(Ⅰ):加算割合は1.2%と仮定した場合に試算すると、月単位の特定加算に係る処遇改善額は24,000円となります。

これだけでは国の言う月額80000円には到底届かないわけです。それに月額が24,000円ですので、仮に経験・技能のある介護職員ひとりに配布したとしても、24,000円のみの支給なわけ・・・。

 

 

単純に月額80,000円をひとりに支給するとなると、56,000円の持ち出し金(法人負担)が必要となります。これではさすがに経営自体が危うくなりかねないわけで、国の示すQ&Aでは、新設や小規模な事業所等といった事由があれば、必ずしもひとり「月額80000円又は年収440万」に達しなくてもよいとされています。

ちなみにもうひとつの「又は年収440万」ですが、これは役職者をのぞく全産業の平均年収をさします。

 

 

 

 

 

 

・・・では次に!

一方の大規模型の通所介護で仮定してみます。

この規模であれば、定員に大差のない稼働率で運用していれば、その月額収入は800万ほどになるかと。

そうすると同様の特定加算(Ⅰ)で試算すると、月額96,000円となります。

規模によって大きく変動するのがこの加算なわけですが、もちろん規模が大きい分配置上の介護職員もそれこそ多く必要になるわけで。

ただ単純に、その加算額から極端な話を言えば、経験・技能のある介護職員ひとりに月額80,000円の支給は現実的に可能ですし、さらには残った金額をほかの介護職員等に配分することもできるということ。

 

 

 

 

 

 

「なによ、そうすると規模が小さいとこほど不利じゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まあまあ聞きなされ・・・」

 

 

 

 

 

 

ひとつの事業所だけでこの特定加算を完結させようと思うとそうかもしれませんが、まずそもそも従業者の数が大規模の事業所とはその対象となる介護職員の分母が異なります。もちろん経験・技能ある介護職員ひとりだけを対象とするのであれば、その支給する額は小規模事業所は少ないです。

しかし今回の特定加算はその支給対象を選択することができます。介護職員の分母をはじめ支給対象が多ければその分加算額は必要になるわけなので、一概に小規模事業所がすべて不利とは断定しにくいです。

それに今回の加算は、法人単位で一括して考えることもできるような仕組みとなっていますので、仮に小規模な通所事業であっても、同法人に例えば特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、比較的月額の介護報酬が大きい事業所を有していることで、トータルでの加算額は多少なりとも担保されるはず。中身の組み立て次第で、もう少し幅の持てる効果的な配分と支給額が実現するように思います。

 

 

 

 

 

「なるほどね。とにかくよく考えられた仕組みだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いては!

この特定加算は、先述したように要件の経験・技能のある介護職員以外にも、法人の裁量にてその配分する対象を拡げることも可能とされています。

つまり、経験・技能のある介護職員には該当しない、いわゆるその他の介護職員であったり、またこれらの介護職員とは別に、対象事業所に所属する生活相談員や管理栄養士、さらには事務員といったその他の職種についても、一定の範囲内のもと支給できるような仕組みとなっています。

 

 

 

 

 

 

 

「いままでの処遇改善みたいに、介護職員を限定したものじゃないのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう!もちろん法人の裁量とはなりますが、ひとりの経験・技能のある介護職員に集中して支給するのではなく、支給の対象とその額を段階的に設定できるのがこの特定加算の特徴なわけ!」

範囲を拡げることで、ひとりひとりの支給額は下がりることにはなります。

しかしながら、その範囲により多くの介護職員に改善額を配分することができることから、初めて介護を目指す方や新卒者の方にとっても価値のある話となるはず。

 

 

ただし、そもそもこの加算の誕生は、経験・技能のある介護職員に対する処遇改善が主な目的とされており、特に10年以上介護に携わるベテラン介護職員を一番の対象としています。

ですので、その他の介護職員やその他の職種についての配分もそれぞれ要件と上限が定められており、その支給額も基本的には、

 

①経験・技能のある介護職員 ②その他の介護職員 ③その他の職種

 

の順に設定することになります。

 

 

 

ちなみにこの①の経験・技能のある介護職員についても、法人の裁量が認められるようになっています。

国の示す取り扱いでは、①は介護福祉士の取得し、かつ勤続年数10年以上としています。

 

 

法人の裁量については、「勤続年数10年の考え方」で、法人の例えば他法人や医療機関等での経験等も通算することができたり、その10年の概念も法人の人事評価制度等の能力評価や等級システムを活用するなどして、決して10年以上の勤続年数を有しない場合でも、業務や技能等から対象として含めることができるなど、非常に柔軟に設定できるようになっています。

 

なお、例えば介護福祉士がいない、10年以上の介護職員がいないといったことも、新設法人や新規事業所では十分あり得るケースと思われます。

そうした場合にも、申告時に法人や事業所がきちんとその事由と根拠を示すことで、一定の許容が認められるようにもなっています。

 

 

 

 

 

こうした概要等詳しい取り扱いについては、

先般厚労省が発出している介護保険最新情報「介護職員等特定処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」で示されています。

またこの特定加算に関するQ&Aも同様に示されていますので、ぜひこの機にそちらもご確認いただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

最後に!!

今回ご紹介した介護職員等特定処遇改善加算は、介護保険法による介護サービスの介護職員を対象としたもので、障害総合支援法に基づく障がいサービスも同様の処遇改善が同時期に導入されます。その名も「介護・福祉職員等特定処遇改善加算」で、概要や取り扱いについてはほぼほぼ介護と同様のものとなっています。

 

 

 

 

・・・以上、「介護職員等特定処遇改善加算について」をご紹介しました。公費1000億円規模(事業費2000億円ていど)を投じる形で導入されますこの特定加算ですが、

このように非常に複雑な組み立てとなっています。

このNAVIでも、またの機会にさらに詳細なお話ができればと思います。

 

 

 

それではまた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「介護職員等特定処遇改善加算・・・。これはこれで深いわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうです。とにかくこの加算の仕組みや取り扱いについて熟知しなければなりません」

「特に事業所の管理者などの責任者には、その説明義務も同時に求められますゆえなおさらと言えます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ~し!!今日からとにかく読み伏せるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんと単純なんだか、素直なんだか・・・」