福祉教育のいま。 Sensin NAVI 「No.48」
- 2017.10.08
- 法人
- sensin
皆様こんにちは、ブロガーのMるでございます。
さて今回のSensin NAVIは 「レッスンその48」です。
さて皆様は「福祉教育」というものをご存知でしょうか?
いわゆる教育と社会福祉の両分野の融合されたもののことで、
私たちの暮らしの中で、幸せや安心を阻害するモノとはなにか?そしてそれに気付くこと、それらを軽減もしくは取り除いていくためにはどうすればよいのか、といったことを皆で共に考え、実際に行動するための力を育んでいくこと、
それがこのいわゆる「福祉教育」です。
こうした福祉教育は、子どもの頃から福祉への意識と正しい理解、そして優しき心を培う上で非常に大切なこととして考えられています。
今日の学校教育でも、「人と人との関わり」を基本にし、施設見学だけでなく実際の体験、そしてボランティア活動への参加など、様々な形で積極的に取り入れらています。
この福祉教育に至る歴史は古く、今日に至るまでさまざまな実践が進められてきました。
戦後の代表的な取り組みとして、「子ども民生委員」制度、学校指定による福祉教育推進事業などが挙げられます。
そして法的な位置づけとして、
1977(昭和52)年には、国庫補助事業として「学童・生徒のボランティア活動普及事業」(「ボランティア協力校」制度)が始まり、
各地域に位置する「社会福祉協議会」はこの事業を積極的に推進するようになります。
その前に、積極的な推進を今日まで計っているこの社会福祉協議会ですが、よく「社協(しゃきょう)」と呼ばれるこの団体。
ご存知の方も多いかと思いますが、地域のさまざまな福祉(生活)課題の解決と、福祉のまちづくりを進めることを目的とした民間団体であり、いわゆる社会福祉法人です。
「福祉教育」は、社会福祉協議会の活動を支える理念として、1960年代後半から理論化、そして実践されている事業のひとつです。ほかにも、広報活動や地域住民への福祉に関する情報提供、
「ボランティアスクール」「福祉講座」といった学習の機会の提供、住民同士が福祉について語り合う機会「住民座談会」の場づくり など多岐に渡ります。
この社協については、同じ社会福祉法人として密接な関係にあり、日頃より私たちもお力をお借りしています。
これら社協の活動や役割など、さらなる詳細については今後のSensin NAVIでも機会があればご紹介したいと思います。
さてさて、先述した「学童・生徒のボランティア活動普及事業」についてですが、
子ども・高齢者・障がい者等との交流体験などの福祉体験活動を中心に、子
どもたちがさまざまな人々を自然に受け入れ、交流できる態度や福祉への関心を育むことを目的に実施されている事業です。
実施主体は都道府県・指定都市社会福祉協議会で、小学校・中学校・高等学校等を「ボランティア協力校」として指定し、それぞれの地域の実情にあわせて事業を展開しています。
事業開始からすでに20年以上が経過していますが、福祉教育の意識の必要性と重要性から、年々多くの学校が進んで指定を受けています。
もちろん社会の流れや考え方の変化も起因しますが、本制度の普及が少なからず今日に至る福祉教育の普及に、影響を与えたことには違いありません。
そして今では、この「学童・生徒のボランティア活動普及事業」による「ボランティア協力校」も、都道府県や指定都市の指定とは別に、
1市区町村内の小・中・高校すべてを「ボランティア協力校」として指定している市区町村も除々増えてきているようです。
それではまた。
(他の事例)
都道府県・指定都市社会福祉協議会では、「福祉教育」の推進にあたって、先に紹介した「学童・生徒のボランティア活動普及事業」(「ボランティア協力校」制度)のほかにも、多くの取り組みを進めています。社会人福祉活動体験事業 サラリーマンなどの勤労者、主婦、企業退職者、高齢者等ボランティア活動参加意欲のある地域住民に対して広く公募を行い、社会福祉施設等さまざまな場において高齢者や障害児(者)等との交流、介護等の体験活動を実施しています。福祉教育研究大会の開催 教育関係者等を対象とした福祉活動参加促進研究大会の開催、福祉副読本の作成などを行なっています。高校生介護等体験特別事業 福祉教育に熱心な高等学校を「高校生介護等体験指定校」として指定し、介護講座、社会福祉施設での宿泊介護等体験活動、体験発表等を実施しています。
全国社会福祉協議会・全国ボランティア・市民活動振興センターでは、都道府県・指定都市社会福祉協議会、また市区町村社会福祉協議会が、当該地域で「福祉教育」の推進を図ることができるよう、さまざまな研究事業・研修事業・情報提供等により、それらの活動を支援しています。研究事業 「地域を基盤とした福祉教育・学習活動の推進方策に関する研究」 地域を基盤として福祉教育を推進するための諸課題を整理するとともに、全国7ヶ所の都道府県、市区町村社会福祉協議会でモデル事業を実施し、各地のくふうされた実践成果を研究に反映しました。研修事業 「全国福祉教育セミナー」の開催 毎年2月、福祉教育に携わる社会福祉協議会職員、学校教育関係者、地域関係者を対象に、地域と協働したプログラムや推進体制のあり方について協議・研究しています。毎年1月頃より、都道府県・指定都市社会福祉協議会を通じて参加申し込みを受け付けます。情報提供 月刊誌「ボランティア情報」では、随時地域における福祉教育・ボランティア活動実践の様子を紹介しています。
また、「福祉教育」は地域福祉推進を図る点でも大きいと考えられています。
現在は、地域でみんなが安心して暮らせるために、様々な支援制度があり、サービス、仕組みづくりがされています。しかし、そのような制度やサービスだけで本当に活き活きとした、住み良い地域になっていくのでしょうか。 学校や社会、地域の中では「心身の障害や不安に関する問題」「社会的排除や摩擦に関する問題」「人権を侵害する問題」「社会的孤立や孤独を要因とする問題」「生活に関する問題」等、人間性や社会関係に起因した問題が起きていることから、今は「人と人とのつながりの希薄化」が大きな課題となっていると言われています。 このようなことから「人と人とのつながりや関わり」「他者への思いやりと関心」を学ぶ機会が必要と考えます。
福祉教育では、自分たちの住む地域や暮らしという身近にあるものをテーマとし、自分たちの地域について調べ、知っていくと地域の課題(社会福祉問題)等に気付いていきます。このことから地域を良くしていこうと考えた時、福祉教育はその有効な手段となります。そして福祉教育は以下のことを通じて行う、自らの人間形成「ともに生きる力」の形成にも養うことを目的とした活動といえます。 ① 人との出会いとふれあい体験を通じて、他者の立場や心情を思いやり、互いの支えあう心や態度を養うこと。 ② 福祉問題を抱えた人々とのかかわりのなかで、社会福祉の理念、制度、施策の現状と問題点を学ぶとともに、福祉向上に寄与する実践力を育てること。 ③ 地域社会において家庭、学校、地域の連携のもと、組織的、計画的、継続的に福祉活動を実践し、共に生きる福祉社会の形成主体となるように援助すること。
人と人との関わりについてその重要性を確認することを通し、地域社会には自分以外の様々な人々がいるということを学べます。そのことが人としての成長につながります。更に、自分と自分以外の人々との関わりを自覚することで、地域のもつ様々な問題や課題に目が向けられ、それに取り組んでいくことで、人と人、人と組織、組織と組織が同じ地域の中でより良い関係を築く事が期待できます。 更に、疑似体験やボランティア活動等に実際に取り組むような体験学習をする事により、そこで体験した事、関わりのある事に意識を持つ事で、思いやりの気持ちに気付くきっかけとなります。 このことから「共に生きる力」「共に育つ環境」「他者を尊重できる豊かな心」へと結びつきます。
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